長崎の本河内教会の大聖堂中には、聖コルベ神父様の小さな御聖堂がある。
聖者の全身の肖像画と聖遺物の頭髪、そして五月に列福される前教皇様、ヨハネ・パウロ2世が使用した
椅子と膝まづき台が、その小さな御聖堂の中に置かれている。
大聖堂の明るさとは対照的に、薄暗い小聖堂には小さなステンドグラスの窓から差し込む光が、影を作り悲しみの中にも希望を、そう光の天使達が歌っているようだ。
聖者、マキシミリアノ・マリア・コルベ神父様は、信心会・聖母の騎士会を創立された程に、聖母マリア様へ信頼されておられました。
聖母に無原罪の聖母に寄り頼む事が、主の救いに与る最も安全で最速の道だと。
その聖コルベ神父様の肖像画の横には、御手を広げた聖母の御像が、優しい笑みを浮かべています。
ものごころが付いた頃、父の書斎の本棚に、マリア様の御像が置いてあるのに気づき暫く眺めていた事を、この小さな聖堂のマリア様を見つめながら想い出した。
マリア・・・なんて安らかな響きなのでしょう。
マリア・・・なんと柔らかく暖かな音なのでしょう。
コンベンツアル聖フランシスコ修道会・日本管区は伝統的に、挨拶を「マリア」と言います。
その伝統も最近は薄れてしまったのか「マリア」と挨拶する事も殆んど無くなってしまっているのですが
長崎の修道院、食前の祈りの後、「マリア」と言うのでした。
少しくすぐったい、その響きの中に、確実に今、マリア様がこの食事を共になさって下さるのだと感じながら、心の中でもう一度、
「マリア・・・」と呟いていました。
マリア・・・なんて安らかな響きなのでしょう。
マリア・・・なんと柔らかく暖かな音なのでしょう。
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